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ディズニーランドで撮った写真をブログに掲載するとき著作権法上注意すべきポイント

こんにちは、ぽちです。

 

今回は、前回好評だった(?)著作権法ネタを少々。

 

夏休みも終わり、思い出を写真に残している方も多いのではないでしょうか。

そしてその記憶をブログに記す、なんてことも良く行われていることです。

 

しかし、例えばディズニーランドには、ミッキーなどのキャラクターがあちこちにいらっしゃいます。これは著作物がそこら中に徘徊しているということ。そんな場所を写した写真をブログに使うのは、よく考えると怖いことなんです。

 

でも怖いからとってディズニーランドでの思い出をブログに残すのを諦めたくないですよね。著作権にいたずらに不安になり、かえってブログ制作活動が委縮してしまうのを防ぐために、なにが良くて何がダメかをいったん整理する必要があります

 

今回の記事は、そんな思考整理にお役立てして頂ければと思います。

 

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1 写真を撮ること自体はもちろんOKです

たとえば、ディズニーランドでミッキーと一緒に写真を撮るなんてことは珍しくないです。そんなとき、ミッキーを勝手に撮影したら著作権侵害だ、なんて言われた日には、そんな遊園地は間もなく閉鎖に追い込まれるでしょう。

 

もちろん著作権法は、そんな理不尽なことを規定していません。

個人の思い出を残すための写真撮影は、私的目的による複製(著作権法30条)なので、たとえミッキーの姿を写真等で複製しても、問題はありません。まあ、当たり前といえば当たり前。

 

(私的使用のための複製)
第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
(以下、略)
 

2 ブログにその写真を載せることは原則的に違法

しかし、そのミッキーとの写真をブログに投稿してしまうと、「私的目的」ではなくなってしまいます。その画像が不特定多数の人間が閲覧できる状況に置かれてしまうからですね。

 

したがって、私的目的の規定が適用されないということは、原則に戻って、その写真はミッキーの姿を無断でコピーしたということで著作権法違反になってしまうんです。まずこれが原則であることは押さえておいた方がいいです。

なので、著作権に気をつけるならば、ブログに投稿するための写真は別途工夫して撮る必要があります

 

3 著作権法の「写り込み規定」を利用する

⑴ 著作権法30条の2

上記の原則を厳格に貫くと、ディズニーランドの思い出を写真を交えてブログで語るということができなくなってしまいます。

 

キャラクターが写ることを恐れるあまり、それらしい施設が見えない駐車場の片隅でひっそりと写真撮影をして「デイズ二-ランドに行ってきました~(^◇^)」なんて言ってもむなしいだけです。

 

そこで、利用したいのが著作権法32条の2、いわゆる「写り込み」規定です。

ちょっと条文を見てみましょうか。

 

第30条の2 写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物の利用に伴つて利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
 
長ったらしい条文ですねw
でも、著作権法の中ではこれでも読みやすい条文なんですよ。著作権法はいろんな定義や条件を一度に盛り込んでいるので、取っつきにくい文になってしまうんでしょうね。
 
さて、著作権法30条の2を簡単にいうと、
写真を撮るとき、対象と分離困難な著作物(付随対象著作物)は一緒に写しても複製権侵害にならないよ(1項)
撮った写真を利用するときには、付随対象著作物が写っていても、原則的には1セットで利用できるよ(2項)
ということです。
 

⑵ ディズニーの例でいうと・・

① 写真を撮るときは1項の話
つまり、例えばディズニーランドで家族や友人の写真を撮るときに、少しくらいならミッキーなどのキャラクターが周りをうろうろしていても、それらを避けて撮影するのが困難ならば、一緒に撮影しちゃってもいいよということです(1項)。
 
写真を撮影する際に、キャラクターをすべて写らないようにすると、そもそも本当にディズニーランドにいったのか分からなくなってしまいますので、ある程度キャラクターが写り込むのはやむを得ません。その意味で、分離困難の要件は一般に認められやすいと思われます(あくまで私見ですが)。
 
1項の規定は、生中継の公開動画などで意味を持ちますね。
公開動画だと私的利用目的とはいえないので、今までだとミッキーなどが写り込んだ動画は撮影できませんでした。しかし、1項の規定があるおかげで、一定の場合にはこのような撮影もできることになります。
 
② ブログに載せるときは2項の話
じゃあ、撮影した写真をブログに掲載するなどで利用していいか、というのが2項の話です。
 
これについては、「当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合」以外ならば、利用していいよ、と規定されています。
 
家族や友人の写真に写り込んでしまったミッキーを利用して、著作権者に不利益なことをする・・どういう場合なのかイマイチ想像するのが難しいですが、普通にブログに写真を掲載する分にはまず問題ないでしょう。
 
③ メインでキャラクターをとってはダメ!
ただ、気を付けなくてはならないのは、著作権法30条の2は、家族等の写真を撮るときにミッキーなどが「写り込んだ」場合の規定です。つまりミッキーをメインに撮影したものは同条の救済を受けられないので要注意です。
 

4 まとめ

ディズニーランドなどの行楽地で撮った写真をブログに載せるときの注意点をまとめると、
 
・単にキャラクターの写真を写すだけなら私的目的の範囲内なので問題ない
・しかし、ブログに掲載すると私的目的ではなくなってしまうので、原則的に違法
・もっとも、家族などを撮るときに「写り込んでしまった」キャラクターならブログに掲載しても問題はない
 
ということになります。
この基礎知識を知っているだけでも写真の扱いについて徒に迷うことがなくなるのではないでしょうか。もちろん実際の解釈はしかるべきところに相談した方がいいですが、思考整理の一環としてこの記事がお役に立てれば、と思う次第です。
 
それでは、また('◇')ゞ